トイレの水が止まらない、流れが悪いなど、トイレトラブルの多くはボールタップの不具合が原因です。でも、ボールタップってそもそも何なのか、どのように交換すればいいのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

「ボールタップの交換なんて、素人にはハードルが高い」と思っている方も多いかもしれません。確かに、水まわりの工事は失敗が許されない難しい作業。だからと言って、何もわからないままプロに丸投げするのは、ちょっと不安でしょう。

そこでこの記事では、ボールタップの基本的な仕組みから、自分で行う交換方法、さらにはプロに依頼する際の費用相場まで、トイレのボールタップに関する情報を徹底的に解説します。

トイレトラブルは、放っておくとどんどん悪化する一方。でも正しい知識さえあれば、未然に防ぐことができるんです。ぜひ参考にしてください。

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トイレのボールタップとは?

トイレのボールタップとは?

トイレのタンクの中に浮いているボール状の部品があるのを目にしたことがあるかもしれません。それがボールタップです。

トイレのタンクに水を貯めておくのですが、水があふれないようにするのがボールタップの仕事です。水位が下がればボールタップが開いて水を入れ、水位が上がればボールタップが閉じて水を止める、そんな自動水栓の役割を果たしているのです。

ボールタップは長年使っているうちに、自然と磨耗したり劣化したりするものです。でも、ボールタップの不具合は、目に見えて分かりにくいのが難しいところ。そこで、ボールタップの故障を見分けるためのポイントを、具体的な症状とともにお伝えしましょう。

水が止まらない

トイレの水が止まらず、タンクから水があふれ出している場合は要注意です。ボールタップのゴムパッキンの劣化や、ボールタップ自体の変形が原因のことが多いです。

パッキンは長年の使用でもろくなり、水を止める力が弱くなります。またボールタップが経年劣化で変形すると、うまく水を止められなくなるのです。

水漏れが発生する

トイレから水が漏れている場合も、ボールタップの不具合を疑ってみてください。よくあるのが、ボールタップと給水管の接続部分からの水漏れです。

また、タンクと便器をつなぐ排水弁から水が漏れているケースもあります。

実はこれも、ボールタップの不具合が関係していることがあるのです。ボールタップが故障して水位が高くなりすぎると、排水弁に常に高い水圧がかかり続け、パッキンの劣化や変形を早めてしまうのです。

トイレの水が止まらない

「トイレの水が勝手に流れっぱなし」という経験をしたことはありませんか?タンク内の水位が下がると、通常はボールタップが開いて水を補充します。ところが故障したボールタップは、水位に関係なく開いたままの状態になります。

そのためタンクに水が溜まりすぎて排水弁から流れ出てしまい、結果としてトイレの水が止まらなくなるのです。

自分で行うボールタップの交換方法と注意点

自分で行うボールタップの交換方法と注意点

ボールタップの故障に気づいたら、できるだけ早めに交換するのが賢明です。業者に頼むのももちろん一つの手ですが、実は自分で交換することも可能です。自分でできるボールタップの交換方法と、その際の注意点をご紹介していきます。

1.交換前の準備と必要な道具

ボールタップを交換するためには、まずは必要な道具を揃えることから始めましょう。基本的には以下のようなアイテムがあれば大丈夫です。

  • 新しいボールタップ(サイズ要確認)
  • モンキーレンチやスパナ
  • ラジオペンチ
  • ウエス(ぞうきん)
  • バケツ
  • ゴム手袋(あれば)

特に新しいボールタップを選ぶ際は、取り付け穴のサイズや、ねじの大きさなどを今のものと照らし合わせて、同じ規格のものを選ぶことが大切です。

ボールタップには様々な種類がありますから、店頭で相談するといいでしょう。古いボールタップを外す前に、写真を撮っておくのもひとつの手です。

2.トイレの止水栓を閉める

まずはトイレ手洗い付近の壁や床に付いている止水栓を閉めましょう。止水栓にはマイナスドライバーで回すタイプのものと、レバーを90度回転させるタイプのものがありますから、状況に合わせて操作してください。

3.タンクの水を抜く

次はタンク内の水を抜きます。タンクのふたを開けて、レバーを押し下げてください。流れる水に合わせて、タンク内の水が無くなるまでレバーを押し続けましょう。

タンク内に水が少し残ることもありますから、その時はバケツとスポンジ等で取り除けばOKです。

4.タンクのふたを持ち上げる

水を完全に抜いたら、タンクのふたを持ち上げます。樹脂製のタンクは比較的軽いのでそのまま持ち上げられますが、陶器製のタンクの場合はそれなりの重量がありますから注意が必要です。

片手でふたを持ち上げつつ、もう片方の手をタンク本体に添えて、ゆっくりと持ち上げるのがコツです。

5.手洗い管と補助水管をボールタップから取り外す

ボールタップに繋がっている管を取り外します。手洗い用の細い管と、補助水管の2種類あるのが一般的です。まずは手洗い管から、先端の金具を回すようにして引き抜けば、簡単に取れるはずです。

続いて補助水管も同様に引き抜きます。

取り外した管は、ボールタップからぶら下がった状態になりますから、タンクの中に整理して入れておきましょう。取り外しのコツは、「ひねりながら引く」ことです。まっすぐ引っ張るよりも、クルッと回すようにすると外れやすいです。

管を無理に引っ張ると、折れたり曲がったりする恐れがありますから、軽い力加減を心がけることが大切です。

6.給水管を取り外す

続いて、タンクへ水を送る給水管をボールタップから取り外します。目印はボールタップの根本にあるナットです。モンキーレンチやスパナを使って、しっかりとナットを押さえつつ、反時計回りに回していけばOKです。

7.古いボールタップの取り外し

給水管を外したら、ボールタップ本体を取り外します。ボールタップを固定しているナットを回せば、比較的簡単に取れるはずです。

長年使用したボールタップは、このナットが錆びついていることもあります。そんな時は、ラジオペンチでナットを挟んでゆっくりと回すのが有効です。または、ネジ山にワークグリスや潤滑剤を塗るのもひとつの手です。

あまり硬くて外れない場合は、無理せずプロに相談するのが賢明です。下手に力を入れすぎるとタンクを傷つける可能性もありますから、注意が必要です。

8.新しいボールタップの接続部分にパッキンを入れる

外したボールタップを、新しいものに交換しましょう。その前に、新しいボールタップの接続部分に、必ずパッキンを入れることを忘れずに。これを怠ると水漏れの原因になります。

パッキンの取り付けは、ボールタップの根元にある溝にはめ込むだけ。新品のボールタップには、パッキンが最初から付属していることがほとんどですが、万が一付いていない場合は、別途パッキンを買う必要があります。

サイズ合わせは慎重に。少しでもズレていると隙間ができ、水漏れにつながってしまいます。

9.ナットを取り付けて新しいボールタップを固定

パッキンを取り付けたら、新しいボールタップをタンクに固定します。外す時と同じ要領で、ナットを時計回りに回せばOKです。

取り付けの際は、ボールタップの向きに注意が必要。浮きタンク同士が干渉しないよう、また水の出口がタンクの中心に向くよう調整しましょう。

ボールタップは必ずまっすぐに取り付けることが大切。斜めになっていると、うまく水位を調節できなくなるので要注意です。

10.手洗い管・補助水管を取り付け直す

ボールタップの取り付けが完了したら、先ほど外した手洗い管と補助水管を元通りに取り付けます。管の先端を、ボールタップの水の出口にしっかりとはめ込みましょう。

このとき、管がねじれたりよじれたりしていないかをチェックするのがポイントです。ボールタップの位置に合わせて、管の角度や長さを調整するのも忘れないでください。

管にはL字型の曲がりがついていることもあります。自由に曲げられるタイプもあれば、固定されているタイプもあるので、状況に応じて使い分けましょう。

11.タンクのふたを元に戻す

管の取り付けが完了したら、最後にタンクのふたを元に戻します。ゆっくりと慎重にふたをきちんとはめ込めば、ボールタップ交換の作業は完了です。

ふたを閉める前に、タンク内にネジやパーツが残っていないかを確認するのも大切です。小さな部品が流れてしまうと、配管つまりの原因になることもあります。

12.止水栓を開けて交換後のチェックと調整

ボールタップを交換したら、止水栓を開けて水を流し、ちゃんと動くかをチェックします。タンクに水が溜まり、ボールタップが上昇して水が止まれば成功です。

もし水が止まらない、あるいは水位が合わないようであれば、微調整が必要です。ボールタップのフロートの高さを変えたり、給水管のノズル部分をひねったりして、ベストな位置を探ってみてください。

トイレを流してみて、ボールタップが正しく作動しているかチェックしましょう。音や振動など、普段と違う様子がないかを注意深く観察してください。

ボールタップの種類と選び方

ボールタップの種類と選び方

ボールタップを交換する際は、タンクのサイズ・形状との適合性、そして自分のスキルとニーズに合うものを選んでください。

代表的なボールタップの種類を見ていきましょう。大きく分けると以下の3つがあります。どれも一長一短ありますから、自宅のトイレをよく観察して、最適なタイプを見極めてください。

種類 外観 特徴
フロートボールタップ ボール状のフロートがついている 古くから使われている定番のタイプ
比較的安価で交換しやすい
バルブ式ボールタップ フロートの代わりにバルブを使っていてコンパクト 近年主流になりつつある

狭いタンクでも取り付けられるのが強み
価格はフロートタイプより少し高め

横形ボールタップ 横向きに取り付ける タンク上部のスペースが限られている場合に重宝します
構造が複雑なため、交換には若干の慣れが必要

ボールタップ上部に刻印されているサイズ表記を確認することが大前提です。「PX」「PZ」といった規格に合わせて、タンクの形状に合うものを選んでください。

また、材質にも注目してください。樹脂製のものは軽くて腐食しにくい半面、経年劣化で割れる可能性も。金属製のものは耐久性に優れますが、重量があり値段も高めです。それぞれの特性を理解したうえで、自分の用途に合うものを選びましょう。

迷ったときは、ホームセンターの店員さんやプロの方に相談するのもひとつの手です。

業者に依頼する場合の費用相場

業者に依頼する場合の費用相場

業者に交換を依頼するのもひとつの選択肢です。ボールタップ交換の費用相場目安ですが、平均的な金額は以下の通りです。

  • 交換基本料金:5,000円~10,000円
  • 部品代:2,000円~5,000円
  • 出張費:3,000円~5,000円
  • 合計:10,000円~20,000円

ただしこれはあくまで平均的な金額です。作業の難易度や部品の種類、さらには地域差によって、費用は大きく上下します。中にはトータルで30,000円以上かかるケースも珍しくありません。

事前に複数の業者から見積もりを取り、費用の内訳を確認しておくことが大切です。

安易に費用の安さだけで業者を決めるのは危険です。特に水まわりの工事は、下手をすると水漏れなどの二次被害を招く恐れがあります。実績と信頼性、アフターフォローの充実度など、総合的に判断することが肝心です。

まとめ

トイレのボールタップは、水の供給を自動的にコントロールする重要な部品です。ボールタップの交換は、必要な工具を揃えれば、DIY初心者でも十分チャレンジ可能。ただ不安な点があれば、無理をせずプロに依頼するのも賢明な選択です。

業者への依頼を検討する際は、費用の相場を把握したうえで、信頼できる業者を見極めることが肝心。割安を謳う業者に飛びつくのは危険です。

トイレは毎日使う大切な設備。ボールタップのメンテナンスを怠らず、いつも快適に使えるよう、普段から意識していただければと思います。少しのお手入れで、トイレのトラブルを未然に防ぐことができるはずです。

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よくある質問

ボールタップが故障しているかどうか、どうやって判断すればいいですか?
ボールタップの故障は、以下のような兆候で判断できます。
  • トイレの水が止まらない
  • 水位が安定しない
  • ボールタップから水が漏れている
  • ボールタップの動作音が異常に大きい、または不規則

こうした症状が見られたら、ボールタップの交換を検討しましょう。放置すると、水道代の無駄や、トイレの故障につながる恐れがあります。
ボールタップの交換に必要な工具は何ですか?また、どこで購入できますか?
ボールタップの交換に必要な主な工具は以下の通りです。
  • 新しいボールタップ(サイズ要確認)
  • モンキーレンチやスパナ
  • ラジオペンチ
  • ウエス(ぞうきん)
  • バケツ

これらの工具は、ホームセンターやDIYショップで購入可能です。事前に古いボールタップのサイズを測っておき、同じ規格のものを選ぶのがポイント。不明点があれば、店員さんに相談するのも良いでしょう。
業者にボールタップの交換を依頼する場合、費用はどのくらいかかりますか?また、依頼先の選び方のコツはありますか?
ボールタップ交換の費用相場は、地域差などにより異なりますが、平均的には以下の通りです。
  • 交換基本料金:5,000円~10,000円
  • 部品代:2,000円~5,000円
  • 出張費:3,000円~5,000円
  • 合計:10,000円~20,000円

依頼先選びのポイントは、実績と信頼性、アフターフォローの充実度。複数の業者から見積もりを取り、費用の内訳を確認することが大切です。安さだけで決めるのは避け、トータルなサービス内容で判断しましょう。